2024年8月18日、福岡市早良区の国道263号で路線バスと軽乗用車が正面衝突し、軽乗用車の後部座席に乗っていた幼い姉妹が亡くなりました。

 

バスと軽自動車衝突事故

(引用元:RKB毎日放送)

 

運転していた母親は左足にケガをし、バスの乗客は3人が病院に運ばれましたが命に別条はないということです。

 

 

事故直後の第一報が入った時、運転席の母親は助かったのに後部座席の姉妹が亡くなってしまったということで、SNSなどでは「姉妹はシートベルトをしていなかったのだろう」と憶測で語られていました。

 

しかし後に入ってきた情報によると姉妹は二人ともシートベルトをつけていたということでした。

 

シートベルトをしていたのにもかかわらず一瞬の事故で子供が二人とも亡くなってしまうとは、母親の衝撃と悲しみはいかばかりでしょうか…。

 

報道では姉妹の死因は心肺停止となっていましたが、一体どういう状況で亡くなってしまったのか、またこのような悲惨な事故を起こさないためにはどうしたら良いのか、調べてみました。

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福岡|バスと軽自動車の正面衝突事故

事故が起こったのは午前11時10分ごろで、母親の年齢は32歳で、姉妹は7歳と5歳。

お盆休み最終日の午前ということで、母親と幼い姉妹でどこかに出かける途中だったのでしょうか。

 

事故現場はゆるやかなカーブで、バスの運転手は「対向車線を走っていた軽乗用車が中央線を越えてきた」と説明しているそうです。

 

福岡 バスと軽自動車が衝突事故

(引用元:読売新聞オンライン)

 

事故原因はドライブレコーダーの記録や母親への聞き取り調査などでやがてはっきりするでしょうが、バスの運転手の説明が本当なら母親は脇見運転もしくは居眠り運転をしていたのかもしれません。

 

※事故現場の近くにある防犯カメラの映像

 

防犯カメラの映像を見ると、確かに軽自動車はセンターラインを完全に超えています。

スピードもかなり出ているようで、衝突の瞬間は軽自動車が宙に浮いています。

 

事故直後の写真を見ると軽自動車の方は前部分が潰れていて、事故の衝撃の激しさを物語っているようです。

前が潰れた軽自動車

(引用元:FNNプライムオンライン)

 

それにしてもこの状況で運転席の母親は足のケガだけですみ、後部座席の姉妹は亡くなってしまうなんて、なんだか腑に落ちない話です…。

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後部座席の姉妹はシートベルトをしていた

事故の第一発見者で姉妹に心臓マッサージをしたという男性の話によると、姉妹はシートベルトをしていて、外傷もなかったということです。

 

SNSで書き込みされていたような、『シートベルトをしていなくて外に放り出されたんだろう』というような状況ではなかったのです。

 

ただ姉妹は7歳と5歳でまだ幼い子供なので、大人用のシートベルトが体に合わなかったのでしょうか。

 

そうだとしても外に放り出されたわけでもないのにシートベルトを着けたまま亡くなってしまい、潰れた運転席にいた母親の方は足のケガで済んだなんて…。

後部座席は運転席よりも危険ということなのでしょうか?

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後部座席は危険な席?京都の大学生の事故の例

車で一番危険な席はどこなのでしょうか?

『車は助手席が一番危ない』とよく言われますが、助手席の死亡者数は年々減少しているようです。

 

確かに昔は助手席が危ないと言われていたとしてもおかしくない割合で、

助手席の人の死亡者数は多いですが現在に近づくにつれその割合は助手席が危ないと言えるものではなくなってきているかもしれません。

 

【助手席が一番危険って本当?車の一番安全な席と危険な席ってどこ?】

Ancar Channel

 

京都の大学生の衝突事故

2021年4月、京都市北区で乗用車とトラックが衝突して、乗用車に乗っていた大学生4人のうち2人が死傷した事故がありました。

 

この事故は専門家から後部座席の危険性を浮き彫りにしたと指摘されました。

なぜなら前席で助かった2人とは対照的に、後部座席でシートベルトをしていた大学生2人が亡くなったからです。

 

京都市の事故現場

(引用:京都新聞)

 

事故の概要:事故は2021年4月に京都市北区で発生し、乗用車とトラックが衝突して5人が死傷しました。

 

乗用車には京都産業大学の学生4人が乗っており、車は制限速度(時速40キロ)を大幅に超える94キロで走行していました。

この車が対向車線にはみ出し、トラックと正面衝突しました。

 

・被害状況後部座席に座っていた大学生2人はシートベルトを着用していましたが、内臓破裂と頭部損傷が原因で亡くなりました。

運転席と助手席の2人はエアバッグが作動したため、足の骨折などの重傷を負いましたが命は助かりました。

 

・専門家の指摘:この事故は、後部座席の安全性の問題を浮き彫りにしました。

多くの車では、後部座席にエアバッグや衝撃緩和機能付きのシートベルトが装備されていないため、前席よりも死亡や負傷のリスクが高いとされています。

名古屋大学の水野幸治教授は、後部座席の安全対策の重要性を訴えています。

 

 

この京都の事故は、事故現場の写真を見る限り乗用車の前は潰れているようですが後部座席方はあまりダメージがないように見えます。

 

京都産業大学生 衝突事故

(引用:京都新聞)

 

しかし運転席と助手席の前座席に乗っていた2人は足の骨折だけですみ、後部座席の2人の大学生はシートベルトをしていたのに亡くなってしまったのです。

 

今回の事故と状況が同じです。

 

安全性が高いと思われがちな後部座席だが、車の安全に詳しい名古屋大の水野幸治教授(自動車工学)は「正面衝突の場合、前席よりも傷害を負う危険性が高くなりやすい」と明かす。

 

 前席のようにエアバッグを設置することが構造的に困難な上、シートベルトを正しい位置に着けないと衝撃で胸骨やあばら骨を折ったり、腹部に食い込んで内臓を圧迫したりする。

 

 加えて、衝突時にベルトを瞬時に引き込んで体を固定する衝撃緩和機能付きのシートベルトは、多くの車で運転席と助手席に装備されているが、後部座席は最新車種を除いて採用例が少ない。

 

引用元:京都新聞

 

多くの車では、後部座席にエアバッグや衝撃緩和機能付きのシートベルトが装備されていないため、前席よりも死亡や負傷のリスクが高いとされています。

 

福岡の事故も京都の事故も、前の座席はエアバッグや衝撃緩和機能付きのシートベルトがうまく作動したのでしょう。

 

後部座席にエアバッグをつけるのは難しいでしょうが、シートベルトに関しては見直しの必要性がありそうです。
 
さらに小さなお子さんに関しては、ある程度の体格になるまではチャイルドシートを使用した方がより安全だと思います。

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母親の悲しみの深さを思う

今回シートベルトをしていたにもかかわらず姉妹が亡くなってしまったのは、3つの理由が考えられます。

事故の衝撃が非常に強かった

シートベルトをしていても衝突の強度が非常に高い場合には、完全に命を守ることができないことがあります。

車両の安全装備の限界

軽自動車は大型車に比べて衝撃吸収能力が低いため、強い衝突に対しては車体が大きく変形しやすく、乗員に加わる衝撃が大きくなる。

シートベルトの限界

後部座席のシートベルトは、ほとんどの場合付き衝撃緩和機能のシートベルトではない。

 

事故現場にいた目撃者によると、事故当時母親は「私はいいので、子供を助けて。」と言い、心配そうに子供の名前を呼んでいたそうです。

そして母親が運転していた軽自動車には初心者マークが貼っていました。

 

母親は運転が未熟だったということでしょうか。

未熟と言ってもセンターラインを超えるということは通常あり得ないので、わき見運転か居眠り運転、またはSNSで書き込みされているようにスマホ見ながらの「ながら運転」をしていた?

ネットの声

車の故障でない限りスマホその他に目をやり、ちゃんと前を向いてなかったのではないかと思います。

 

脇見では無くスピードの出し過ぎで曲がり切れなかった様に見える

 

間違いないのは母親が100%悪いってこと。

 

 運転しちゃいけないタイプの人だったのではないかなぁ。

 

スマホ運転で間違いないと思います。

センター割ってノーブレーキ、前を見てない証拠。 起こるべくして起きた事故です。

 

断言できる。カーブじゃ無い所で、センターラインはみ出す奴の9割は携帯電話のメール。

 

私はシートベルトせずに事故にあい、車外に投げ出され命が助かりました。

車は半分に潰されていたので、シートベルトをしていたら車と一緒にペチャンコでした。

批判を受けるかもですがそんなこともあります。

 

悪いのは母親だけど、子供を失うという罰を受けているので責める気にはなれない。

まとめ

正面衝突事故の場合、エアバッグや衝撃緩和機能のシートベルトで守られる前席と違い、後部座席は負傷や死亡の危険性が高いことがわかりました。

今回の事故の場合、姉妹がチャイルドシートに座っていたら命は助かっていたかもしれません。

そしてチャイルドシート云々の前に、そもそも運転手である母親が安全運転をしていたらこのような悲惨な事故は起こりませんでした。

 

母親がなぜセンターラインを超えて対向車線に入ってしまったのかは母親に聞かなければわかりませんが、事故直後に母親は誰かに電話して「ごめんなさい」と言っていたという情報もあります。

もしかしたら急いで慌てている時に、何らかのアクシデントが起こって前方不注意になったのかもしれません。

 

しかしたとえどんな状況だったとしても、事故は起こってしまいました。

この母親は自分の運転で我が子2人を死に追いやったという事実を抱えてこれから長い人生を生きていかなければならないのです。

 

それはどんなに重く険しい道でしょうか。

「失敗」で許されることではないし、心から笑える日はもう一生来ないかもしれません。

そう思うと胸が苦しくなります。

 

私も、昔のことになりますが小さな我が子を2人乗せて毎日のように車を運転していた時期がありました。

当時のことを思い出すとスマホや携帯などはありませんでしたが、小さな子供の育児は本当に大変なので疲れてふと眠気が襲ってくることは何度もあったし、子供の発する声に驚いて前方不注意になったこともありました。

 

何事もなく子供が大きくなってくれたことには感謝していますが、それはたまたま運が良かっただけなのかもしれません。

ほんの一瞬の隙をついて、不幸が襲いかかることがあってもおかしくはなかった。

なにしろ子育てというものは親になったばかりの人間にとって、暗中摸索の綱渡りのような毎日と言っても過言ではないからです。

 

そんな中、自分の不注意によって子供が二人も亡くなってしまうなんて、親にとってこれ以上の苦しみ悲しみがあるでしょうか。

 

今回のバスとの正面衝突事故においてはSNSで母親を非難する声が多く見受けられますが、誰が非難するよりもこの母親自身が自分のことを誰よりも強く責めていることでしょう…。

 

心穏やかな日がいつか訪れますように。

 

このような不幸な事故はもう二度と起こってほしくないと思います。

 

追記

今回の幼い姉妹の死亡事故を受け、日本自動車連盟(JAF)はチャイルドシートの使用を推奨する基準を見直すことを発表しました。

これまでは身長140センチ未満を推奨していましたが、来年に150センチ未満に引き上げるということです。

 

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