9歳の時に文通を始めた男女が、77歳の今現在に至るまで、68年間も文通を続けているというニュースを読みました。
男女は米ニュージャージー州ウッドクリフ・レイクに住むジョン・ウォラックさんと英ロンドン郊外で暮らすシャーリー・ブルームフィールドさん。
事の始まりは、新聞に掲載されていたペンパル募集の広告がきっかけで、学校を通じて2人の文通はスタートしたようです。
しかし9歳から77歳まで、68年間の文通って、凄すぎませんか?
私は感動して、思わずお二人の写真をまじまじと見つめてしまいました。
そして思いました。
男女が68年間も親しくお付き合いしていて、恋愛に発展したり、結婚したり、また逆に縁が切れて別れたりすることはなかったんだろうか?
淡々と、手紙のやり取りだけのお付き合い?
元はと言えば全くの他人同士の筈だけど、68年も文通を続けられているということは、よっぽどお互い気があっていたのだと思います。
ところで文通というのは、時間がかかるコミュニケーションです。
ある程度時間をかけて相手に向けた手紙を書き、封筒に入れて切手を貼って外の郵便ポストに出す。
実際に相手の手に手紙が届くまで数日かかります。
今回話題になっているペンフレンドの女性シャーリーさんは、「手紙は6週間に1回のペースで届いていた」とおっしゃっています。
文面をスマホに打ち込んだ直後に相手にメールやラインが届く現代では考えられないような時間や手間がかかるのですが、昭和の時代まではそれが普通のことでした。
私も中高生の頃、遠く離れた所に住む女子や、海外の同じ年齢の女の子と文通をしていた時期があります。
会ったことがない、全くの他人と交流してみたいという欲求があったんですよね。
でも残念ながらどの人とも長くは続かず、やり取りはすぐに終わってしまいました。
お互いどんな内容を書いていたのか、全く覚えていません。
覚えているのは、海外の女の子が「私は眼鏡をかけているよ!」と英語で書いていたことだけです。
文通というと自分にはそんな経験しかないし、他の人も大体そんなものだろうと思っていたので、
68年も文通が続いているというこのお二人が、何か特別な素質や才能を持っている人達のように感じてしまいます。
68年来の男女のペンフレンド
二人が文通を始めたのは1954年。当時の二人の年齢は9歳。
9歳っていうと小学校3,4年生。
そんな幼い頃にお互いの近況や家族、学校のこと、また好きな漫画などについて書き綴っていたそうですから、なんとも微笑ましい話ですよね。
お互いの国(アメリカとイギリス)の生活について、教え合ったりもしていたそうです。
しかし手紙を書くというのはたとえそれが短い手紙でも、文章力はもちろんのこと、思考力も集中力も必要です。
大人ならまだ理解できますが、9歳という年齢でそれを行い、そのままずっと続けるというのはすごい。
お二人ともとても賢いお子さんだったのでしょう。
不思議に思うのは、男の子と女の子では興味を持つものや、遊び方や趣味なども全く異なると思うのですが、
それでも文通が続けられていたというところです。
成長して思春期になり子供から大人になる時や、学校を卒業して社会人になる時など、
若い頃は環境が大きく変わり、人間関係もガラリと変わるものだと思いますが
ジョンさんとシャーリーさんはお互いの関係を大切にして、ずっと交流を続けていたんですよね。
そこがすごいと思います。
手紙っていうのは心と心の対話とも言えると思うから、お二人は互いの「心の友」という感じだったのでしょうか。
周囲にいる友だちや家族には話せないことも、滅多に会うことのない心の友にだったら打ち明けられる、ということはあるのかもしれません。
そんな存在は、いたらいいなと思うけど、簡単に手に入れることはできないと思うので、羨ましい話です。
結婚や別れはない
それにしてもこの長い長い文通を続けている2人が同性ではなく異性ということなので、
恋愛に発展したり、結婚したりすることはなかったのだろうか?
縁が途切れて別れるということも、なかったのだろうか?
そんな風につい思ってしまった私でしたが、ちょっと短絡的な考えだったかもしれませんね。
むしろ、恋愛関係にならなかったから、68年間も平和で良好な関係を築けたのかも。
恋愛にいざこざや別れはつきものですからね…。
長らく文通を続けていた2人が初対面を果たしたのは、1969年のことで、文通を始めて15年目のことだったそうです。
当時お二人は24歳。
しかしその時シャーリーさんはすでに結婚していてお子さんもいたらしいです。
結婚報告や親になった報告ももちろんしていたことでしょう。
対面したお2人はすぐに打ち解け、ジョンさんはシャーリーさんの夫や子供とも仲良くなったらしいです。
その後もお2人は何度か会ってはいるようですが、常にお互いのパートナーと一緒で、
時には家族ぐるみで親しいお付き合いを続けているようです。
長い文通は愛情あってのことでしょうが、良い友人か家族のような温かい気持ちで相手を見ているのでしょうね。
実際に二人はお互いのことを「大切な友人であり家族のような存在だ」と語っています。
全くの赤の他人であり別々の国に住む男女が手紙を書くことで友人になり、一生を通じて家族のように付き合うことになるなんて、奇跡のような素晴らしい話ですね。
そういえば昔、こんな挿話がありました。
手紙を書いて小瓶に詰めて海に放り投げたら、いつかどこかの浜辺に漂着し、それを偶然拾った誰かが読んでくれるかもしれない。
それは一体どこのどういう人だろう?素敵な人だったらいいな。返事をくれたらいいな。
そんな話です。
インターネットというものがまだ存在しない時代、そういう話になんだか壮大なロマンを感じたものです。
今回、ジョンさんとシャーリーさんのニュースを聞いて、そんなことを思い出しました。
男女の友情・人間愛
男女の友情は存在しないという風に言われていますが、
このジョンさんとシャーリーさんの間には真の友情というものが存在しているような気がします。
友情というより人間愛と言った方がいいかもしれません。
また、ペンフレンドという関係について改めて考えてみると、ペンフレンドというのは直接会うことがほとんどなく、言葉だけのやり取りです。
長い間二人が言葉のやり取りを続けられているのは、大前提として敬意とか好意とか、人間にとって嬉しく好ましいものをお互いに感じとっているからでしょうし、
逆にもしそれが無かったとしたら、とっくに自然消滅してしまっていたと思います。
そう思うとペンフレンドというのはとても静かで質素な関係のようだけど、人との付き合い方において学ばせてもらうところが沢山ありそうです。
まとめ
ジョンさんとシャーリーさんは長い間、相手を尊重しお互いの関係を大切に育ててきた。
長くなればなるほど、お互いの理解が深まって、かけがえの無い存在になった。
その結果として68年も良い関係が続くことになったんだと思います。
しかしここまで長く続くのは、そもそもお互いのお互いに対する男女を越えた愛がなければ無理な話。
お二人とも愛情深く誠実なお人柄なのでしょう。
縁あってペンフレンドになった9歳の男の子と女の子。
成長していく上での出来事や悩みなど、本人すら忘れているようなことでも相手は覚えているかもしれない。
お互いの68年間の人生の記録を、お互いが持っている。
この広い世の中、そんな存在があったら心強いし、人生はどんなに豊かになることでしょう。
本当に羨ましい話です。
できればいつも側にいる人に対しても、そんな大きな愛を持って、礼節をもって付き合いたいものですね。
そしたらきっと、悩みやいざこざが減ります。
凡人には難しいことかもしれませんが…。