一昨日、ロンドンの美術館で展示中のゴッホの絵画「ひまわり」に缶入りのトマトスープが投げつけられる騒動があり、「ジャストストップオイル」という環境保護団体の若者二人が逮捕されました。

二人の環境活動家 

ゴッホのひまわりといえば世界的に有名な絵画で、推定価値は約124億円と言われています。

ゴッホのひまわり

そんな絵画にトマトスープをぶっかけるなんて、おそらく世界中の人があっけにとられて『な、なんてことをするんだ!』と驚愕したことでしょう。

私もその一人です。

 

幸い、絵画はガラスに覆われていたため無事だったということです。

考えてみれば、誰でも近づくことができる場所に展示されているわけですから、絵画がガラスで保護されているのは当たり前ですね。

安心しました。

 

それはさておき、奇妙に感じたことがありました。

事件現場を撮影した動画を見ていたら、この若者二人がスープを投げつけた直後、身をかがめて何かを一生懸命自分たちの手に塗りたくっていたのです。

『一体何をやってるんだ?』と思いました。

 

動画はそこで終わっていたんですが、調べてみたら彼らが手に塗っていたのは接着剤だったようですね。

その後自分たちの手を絵画の横の壁面にひっつけて、抗議を始めたらしいです。

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壁に手を引っ付ける二人

しかし接着剤で手を壁にひっつけるって…何か意味でもあるんでしょうか?

 

まだ横顔に幼さが残る若い彼らが、まるで何かに急かされるように必死に手を動かしていた場面を思い出すと、そんな疑問がわき起こってきました。

 

色々調べてみたら、名画を汚そうとしたり、その額に接着剤で手をひっつけるという行為は、環境保護団体が自らのアイデアで行っているパフォーマンスのようで、最近始まったことのようです。

 

要するに、「絵画を傷つけないように、かつインパクトのある手法で」ということのようなのですが、接着剤で手を引っ付けると言うのは、この場から離れない、という意思表示を表しているのでしょうか?

または自分たちを展示された作品のようにして、無機物である絵画と対比させて見せ、命の大切さを訴えるというパフォーマンス?

 

今回の「ゴッホのひまわりトマトスープ事件」で初めて知りましたが、「ジャストストップオイル」という団体は、ここ最近のことではありますが以前からイギリス国内で立て続けに同じようなことをして世間を騒がせていたようです。

 

そしてこの活動はイギリスだけではなく、他の国にも飛び火していました。

それぞれの活動団体はつながりがあるようですが、詳しいことはまだわかっていません。

 

「地球環境を守ろう」というのはなるほど正しい主張だと思うのですが、逮捕されるようなはた迷惑な行動を積極的に取るのは、受け入れがたく感じる人の方が多いと思うのですが、どうなんでしょうか?

 

最近立て続けに起こった世間を騒がせたこの手の事件をまとめてみました。

 

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「ジャストストップオイル」の過去の活動

 

・2022年3月17日

イングランドのグディソン・パークで行われたサッカーのプレミアムリーグの試合の最中に乱入して、自分の首を結束バンドでゴールに結び付けて試合を中断させた若い男性が逮捕された。

サッカーゴールに立つ若者

男性は「Just Stop Oil」と書かれたTシャツを着ており、属する団体「ジャストストップオイル」がイギリス政府に対して犯行声明を発表した。

若者のアップ画像

「政府は新しい油田に資金を提供することによって私たちを裏切っている。」

「新しい石油は僕たちの子供たちの未来の破壊を意味する。」

 

 

・6月30日

ロンドンの美術館に展示されていたゴッホの絵画「花咲く桃の木々」の額に、環境活動家の二人が手を接着する騒動があった。

絵画と二人の環境活動家

二人は国内の化石燃料に関する新規プロジェクトの停止を求める団体「ジャストストップオイル」のメンバー。

 

ちなみにこの男性の方はルイ・マケックニーさん(21歳)。

前述の3月のサッカーゴールに首を結びつけた男性でした。

ルイさんは英政府の化石燃料に関する新規プロジェクトを批判し、自分が公衆の敵になることも覚悟していると話し、「私たちの世代はこうした行動を取る以外に選択肢がない」と訴えたそうです。

 

・7月5日

ロンドンにあるロイヤル・アカデミー・オブ・アーツに展示されていたレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の複製画の額に、「ジャストストップオイル」のメンバー数人が自分たちの手のひらを貼り付けた。

また、作品の下に白いスプレーで「NO NEW OIL」(新たな石油はいらない)と記した。

最後の晩餐と3人の環境活動家

 

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絵画に手を接着する他国の活動家たち

上記は英政府を批判するイギリス国内の団体「ジャストストップオイル」の活動でしたが、

驚くべきことに、絵画に手を接着するというパフォーマンスは他の国でも行われていました。

 

・7月22日

イタリアのウフィツィ美術館で若い男女3人が抗議活動。

2人が手のひらに接着剤を塗り、ボッティチェリの絵画「春(プリマヴェーラ)」の上に手をくっつけた。

ボッティチェリの春と環境活動家

作品には保護ガラスが設置されており、損傷はなかった。

若者たちは床に座り込み、「Last Generation, No Gas, No Coal (最後の世代ガスなし石炭なし)」と書かれた横断幕を掲げていた。

 

・10月9日

オーストラリア メルボルンの美術館で展示中のピカソの絵「朝鮮の虐殺」に環境保護活動家が手を接着させる騒ぎがあった。

ピカソの絵と環境活動家

絵は防護ガラスで覆われており、美術館は「手はガラスからはがされ、絵は無事だ」と発表した。

 

活動家は男女二人で、環境保護団体「エクスティンクション・レベリオン(XR)」のメンバー。

ピカソの絵画の前に立ち、「気候の大混乱=戦争+飢餓」という横断幕を掲げ、自身の手をガラス板に接着した。

 

 

各国申し合わせたように同じような主張で同じようなパフォーマンスを行っていますね。

単なる模倣犯なのか、それとも環境保護団体つながりで国を超えてつながっているのか、はっきりしたことはわかりません。

 

これらとは別に、5月29日フランス・パリのルーブル美術館で、男がクリームがのった菓子をレオナルド・ダ・ヴィンチの名作「モナリザ」に投げつける事件がありました。

モナリザ画像

絵は強化ガラスで保護されており無事。

男はかつらと帽子をかぶり女性高齢者に変装し、車椅子でモナリザに近寄ったとみられており、「Think of Earth(地球のことを考えて)!」と叫んでいたそうです。

 

まとめ

世界的名画に手を接着するという奇抜なパフォーマンスを演じ、メディアに報道させる環境保護団体。

 

彼らの主張は、「芸術的遺産を守るのと同じように地球のケアと保護に専念しなければならない。」ということで、アートを通じて地球環境が崩壊に向かっていることに警笛を鳴らそうとしているのだそうです。

 

実際には絵画を傷つけないように配慮しているようで、主張の内容自体は間違ってはいないと思うのですが、問題はこの伝え方なんですよね。

 

世界的に有名な芸術作品を汚すような真似をして人にショックを与えるというのは、世界中から注目されるのは間違いないのですが、ほとんどの人がまず反発を覚えるでしょう。

 

彼らのこのやり方に納得し、賛同を表明する人なんているのでしょうか?

第一印象は最悪ですから、むしろ敵視されたり排除されたりするのではないかと思われます。

自分たちの活動の輪を広げたいと思っているなら、人々の共感を得ることがまず第一でしょう。。

彼らのこのやり方では対立を生み、彼らの望むこととは真逆の結果になると思うのですが。

 

あと、「ジャストストップオイル」は、環境保護団体ということで「未来の子供たちのために地球を守る」と提言しながら活動しているようですが、団体というからには、団体の長や代表がいるはずです。

しかしパフォーマンスを演じ逮捕されているのは、20歳やそこらの子供のような年齢の若者です。

逮捕歴がついてしまったこの若者たちの未来については、この環境保護団体はどう考えているのだろう?と個人的に非常に疑問を感じてしまいました。

 

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