映画『ブルージャイアント』が2023年2月17日に全国公開されてから、3ヶ月近く経ちました。
通常、映画というものは公開されると上映期間は3週間~3ヶ月ほどになるようです。
観客動員数が悪く、認知されない映画は3週間で公開終了。
2ヶ月~3ヶ月の間公開されるのは、話題性のある映画ということになります。
劇場数が減ったり、一日の上映回数が減ったりしながらも3ヶ月近く上映されている『ブルージャイアント』は、話題性のある映画と思って良さそうですね。
さて映画『ブルージャイアント』は、原作は漫画です。
漫画:BLUE GIANT
掲載誌:ビックコミック
作者:石塚真一
発表期間:2013年5月10日-2016年8月25日
巻数:全10巻
なんと10年も前に連載が始まった漫画なんですね。
今回、私はひょんなことから映画『ブルージャイアント』を観に行くことになりました。
実は私は、普段から漫画というものを読まないし、映画館に映画を観に行くというのも、一体どれ位ぶりだろうか!?という感じの非トレンディな人なのですが…。
なので『ブルージャイアント』はジャズの映画で、アニメだというくらいしか予備知識がなく、もちろん漫画も読んでいないというまっさらな状態で映画鑑賞に挑みました。
ちなみにジャズに関しても全くのド素人です。
映画を観に行く前に、原作の漫画を読んでおいた方がいいよね。
何も知らないで行くよりも、内容を把握しといた方がきっと映画も楽しめるよね。
そう思いつつ、結局漫画は読めないまま映画に行ったのですが…答えはノーでした。
映画『ブルージャイアント』は面白かった!
あらすじなど知らず、ただジャズプレーヤーを目指す高校生の男の子の話とだけ聞いていました。
しかし予備知識はそれだけで十分、いえそれすらも知らなくていいと思います。
なぜかというと、複雑なストーリーではないからです。
主人公の若い男性が世界一のジャズプレーヤーを目指して、愚直に、情熱的に、ひたすらサックスを吹き続ける。
夢に向かって、脇目もふらずに。
映画では、女性がほぼ登場しません。
ひたむきにジャズに対峙する男たちの、気持ちと魂がぶつかり合う世界の連続です。
あまりにも情報過多なこの時代、余計な知識に溺れて右往左往しているだけで思い切った行動なんか何もできない自分にとってはこの世界が非常に新鮮で感動的で、人間ってこうありたい、こうあるべきだと思いつつ、世の中にはこういう人たちが実は沢山存在しているんだろうなと思いました。
しかも遠い昔から。
羨ましい。
こんな風に人生のすべてを賭けることができる、情熱のすべてを捧げられることがあり、高校生の頃にそれに出会えるなんて。
主人公を中心に、様々な人の心の奥の純粋さが心に響いてくる、良い映画でした。
漫画『ブルージャイアント』は凄い作品だった…。
そして映画を観た翌日、原作の漫画の『ブルージャイアント』全10巻を、一気に読みました。
読み始めると止まらない、ノンストップで読んでしまう漫画でした。
映画は主人公が東京に来た時からのストーリーでしたが、原作では故郷の仙台で過ごした高校生時代が冒頭しばらく続きます。
家族関係や友人やそれぞれの想いなど、かなり繊細に描かれていてリアルな世界に引き込まれます。
『ブルージャイアント』に心惹かれるのは、登場人物がどこにでもいそうな普通の人ばかりで、縁があって出逢い、繋がりができるけれどやがて別れが訪れ、その繰り返しという言わば一人の人間の人生の本質的な部分を淡々と見せてくれるからかもしれません。
そして主人公の肝が据わった強さが魅力的。
人を見上げることも見下げることもせず、すべての人に偏見なく向き合い、なにものにも囚われず固執しない。
心が自由というか何というか、こういう人いいなあ。こうありたい。
漫画『ブルージャイアント』は、ジャズという音楽を題材にした漫画。
第3巻で高校の音楽教師の黒木先生が「心にも食べ物が必要」「音楽は人間にとって絶対に必要なモノだと先生思うの。」と言いますが、なるほどそうだよなあと思いました。
音楽が題材でジャズやサックスが重要でははあるけれど、さりげない人との出会いとふれあい、それによってダイナミックに変わって行く人生。
それを現在進行系のような形で見せてくれる、それが漫画『ブルージャイアント』の魅力だと思いました。
漫画を読んでいてもいなくても映画は楽しめる
『ブルージャイアント』の漫画は重厚でリアルで、臨場感に溢れています。
まるで自分もそこにいるかのように、完全に引き込まれます。
なので10巻読んだばかりですが、早く続編が読みたいです。
映画は、この10巻をギュッと凝縮させて2時間という時間にまとめたものになっているので、登場人物同士の関係がやや曖昧なところや説明不足になっているところがありました。
『これは誰?』という人がいたり、『この人ってここで涙を流すような関係の人だっけ?』と首を傾げたり。
しかし映画自体は、一本ぶっとい筋が通っている感じだし、何より音と映像がド迫力で迫ってくるので細かい所はさほど気にならず十分楽しめます。
なので原作漫画は読んでいても読んでいなくても、映画は楽しめます。
ただ私は、もう一度映画を観に行きたいと思っています。
原作漫画の素晴らしさに圧倒されたし全貌を把握できたので、今度はこの余裕を持って、またあらためてじっくりと、映画を観てみたいですね。