「good jap」という言葉がSNS上で炎上した――。

 

聞き慣れないこのフレーズに、なぜここまで強い反応が集まったのでしょうか。

 

一見すると褒め言葉のように思える「good jap」ですが、実は深い歴史的背景と差別的な意味合いを持つ言葉です。

 

特に最近、SNSや国際的な場面でこの言葉が問題視され、例えば最近ではENHYPENのメンバーによる発言が議論を呼び、英語圏と非英語圏での差別用語に対する認識の違いが浮き彫りになりました。

 

ENHYPEN 画像

ENHYPEN公式サイトより

 

この記事では、「good jap」が差別表現とされる理由、その言葉に込められた侮蔑の歴史、そして使ってはいけない理由について、わかりやすく解説します。

 

知らずに使ってしまう前に、この言葉の意味をしっかり知っておきましょう。

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「good jap」はなぜ差別表現とされるのか?

「good jap(グッドジャップ)」という言葉を聞いて、最初は「褒め言葉なのでは?」と思う人もいるかもしれません。

 

しかし、実際にはこの言葉は非常に問題のある差別表現です。

 

ポイントは「jap」という単語。

 

これは「Japanese(日本人)」の略語として使われますが、特に英語圏では歴史的に非常に侮辱的な意味を持っています。

 

 

第二次世界大戦中、英語圏(特にアメリカ)で日本人に対する強い敵意が広まりました。

 

その中で「Jap」という言葉は、プロパガンダや新聞などで頻繁に使われるようになり、差別用語として定着していきました。

 

例えば、1942年に米軍将校ジョン・L・デウィットが「A Jap is a Jap(日本人は所詮日本人)」と発言し、日系人収容所政策を正当化するなど、明確に蔑視の意図で使われました。

 

このような背景を知らずに「jap」と言ってしまうと、悪気がなくても相手を深く傷つけることになるのです。

 

では、そこに「good」がつくと意味は和らぐのでしょうか?

答えは「ノー」です。

 

「good jap」は、表面上は褒めているように見えますが、実際には「良い日本人」=「勤勉で従順な存在」といったステレオタイプを助長する表現とされています。

 

つまり、「従順な日本人はgood、そうでない日本人はbad」という価値観が前提にある、非常に危険なニュアンスを含むのです。

 

このような背景を知れば、「good jap」が差別的だとされる理由がわかるはずです。

 

代わりに「Japanese」や「JPN」を使うことで、誤解や傷つけるリスクを避けましょう。

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「good jap」が炎上した具体的な理由とは

「good jap」が世間的に注目を浴びたのは、2025年に起きたENHYPENの炎上事件がきっかけです。

 

あるライブ配信(WeverseLIVE)中、メンバーがチャットで「Good job(グッジョブ)」と入力しようとして、誤って「Good jap」とタイピング。

 

しかも、その後にメンバーたちがチャットで「Good jap」「Jap Jap」と繰り返し入力し、笑い声が聞こえたことで、SNS上では大きな波紋を呼びました。

 

ENHYPEN ティックトック

 

ファンからはすぐに、「それは日本人をバカにする差別用語では?」という声が上がり、瞬く間にXやTikTokで拡散。

 

「英語圏では ‘jap’ は差別用語だよ」「無知では済まされない」など、批判のコメントが相次ぎました。

 

ENHYPENの所属事務所はすぐに謝罪コメントを発表し、「誤入力によるもの」「差別的意図は一切ない」と釈明し、文化的感受性の教育を強化すると表明しましたが、事態は収まりませんでした。

 

なぜなら、ファンが問題視したのは発言そのものよりも、その後の反応や態度だったからです。

 

一部の視聴者は、「笑いながら言っていたのは侮辱的に見える」と受け取り、炎上は数日間続く騒ぎになりました。

 

この事件は、SNS時代において無知による差別表現の使用が国際的な批判やファンの失望を招く深刻な影響を示すケースとなりました。

 

SNS時代の今、国際的な言葉の感覚を持つことが、芸能人やインフルエンサーにとって必要不可欠であることがわかります。

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なぜ「good jap」は使ってはいけないのか

では、なぜ私たちは「good jap」という表現を使ってはいけないのでしょうか?

 

理由はシンプルです。

 

歴史的に日本人を蔑む目的で使われてきた言葉であり、今なおその痛みを記憶している人が多く存在するからです。

 

たとえ「good」という前向きな単語がついていたとしても、それは侮辱の中に込められた「皮肉」や「支配的な視点」を意味する場合があります。

 

また、「差別の意図がなかったから許される」というわけではありません。

 

無知や軽率さも、国際社会では大きな誤解や摩擦を生みます。

 

特にSNSでは、たった一言が世界中に広まり、思わぬ炎上につながることも珍しくありません。

 

 

さらに、日本国内では「jap」の差別性を知らない人が多いのも事実です。

 

これは、歴史教育やメディアでこの言葉の背景があまり取り上げられていないためです。

 

 

 

 

しかし、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの英語圏では、「jap」は差別用語として広く認識され、公の場では避けるべき言葉とされています。

 

例えば、Merriam-Webster辞典では「jap」が「侮蔑的」と明記されており、英語圏の公の場では避けるのが常識となっています。

 

今後、海外の人と関わる機会がある人ほど、こうした言葉の背景を正しく理解しておくことが大切です。

 

もし誰かが「jap」や「good jap」と言った場合、感情的にならず、「それは差別用語なんだ」「『Japanese』を使うのが適切だよ」と穏やかに伝えるのもよい選択です。

 

言葉はただの文字列ではありません。

 

その言葉を誰が、どんな歴史の中で、どんな意図で使ってきたのか。

 

その背景を知った上で、私たちも言葉選びに気をつけていく必要があります。

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