愛媛の“あいテレビ”で起きた“ある深夜番組”の出来事が、今、静かに注目を集めています。
バラエティという名のもとに交わされた言葉、繰り返されたやり取り、そして画面に流れた演出の数々。
一見すると笑いに包まれた番組の裏側に、声を上げても聞き入れられず、傷ついていた人がいたのかもしれません。
今回、フリーの女性アナウンサーが提訴に踏み切ったことで、事態は思わぬ方向へ。
番組名は? 被害内容は? そして、なぜ今になって訴える決意をしたのか。
「バラエティでしょ?」と見過ごされてきた“当たり前”が、本当に当たり前だったのか。この訴訟は、テレビ業界の構造的な問題を浮き彫りにします。
今、改めて問い直される“テレビの常識”とは?
あいテレビで何が起きた?
地方局で起きた“深夜番組の裏側”が、今大きな波紋を広げています。
問題となっているのは、TBS系列の「あいテレビ」でかつて放送されていた深夜バラエティ番組。
お酒を片手に“本音トーク”を展開する、いわゆる“大人の時間”をコンセプトにした内容でした。
しかし、その舞台裏で起きていたのは、笑いごとでは済まされない深刻なハラスメント行為だったのです。
2025年6月、元番組出演者であるフリーアナウンサーの女性が、あいテレビを相手取って約4100万円の損害賠償を求める訴訟を提起。
全国ニュースでも報じられ、一気に注目が集まりました。
彼女が主張するのは、番組の中で有名タレントや僧侶の共演者から37件のセクハラ行為(性的発言やわいせつ行為)を受けたというもの。
「床上手でしょ?」
「Sですか? Mですか?」
そんなセリフが、収録中に飛び交っていたというのです。
しかも驚くのは、それが実際に放送されたという点。
「3人そろって床上手」「エッチなトリオ」といったテロップが画面に載せられたり、網タイツ姿の女性イラストが差し込まれたり…。
これはもはや、悪ノリのレベルをはるかに超えています。
共演者からの発言だけでなく、番組スタッフ(ほとんどが男性)が誰一人止めなかったという点にも、強い批判の声が集まっています。
しかも、笑い声やズームアップのカメラワークで「セクハラを盛り上げる演出」までされていたとのこと。
視聴者からすれば「バラエティ番組だし、ノリでやってるんでしょ?」と思ってしまいがちですが、当事者にとってはまったく笑えない状況です。
原告の女性は、番組を降板するまでにPTSD、不眠、嘔吐、過食、突発性難聴などを発症し、現在も働けない状態が続いていると訴えています。
制作側には「安全配慮義務違反」があったとし、放送局に対して責任を問う今回の訴訟。
これまで「テレビの裏側」で見過ごされてきた構造的な問題が、いま白日のもとにさらされようとしています。
セクハラ被害の女子アナは誰?
訴訟を起こしたのは、かつてあいテレビの深夜番組に出演していたフリーの女性アナウンサーですが、訴訟の性質上、プライバシー保護のため名前は公表されていません。
「結局、誰なの? 名前を教えてよ」
そんな声がネット上にはあふれています。
確かに、事件を深く知ろうとすると、“実名”が知りたくなるのが人の心理。
でも、今回のようにハラスメントが絡むケースでは、被害者のプライバシー保護が最優先されるのが基本です。
報道でも「匿名の女性アナ」とされていて、顔写真なども一切出ていません。
そっとしておくべき、というのが大人の対応かもしれませんね。
ただし一方で、ネット上では憶測も飛び交っています。
SNSや一部のブログでは、「大下香奈ではないか?」という名前があがる場面も。
しかし彼女が元NHKや愛媛出身であることや、あいテレビとの関わりがあることは確認できません。
ここで注意しないといけないのは、これはあくまで“噂レベルの情報”であるということ。
本人も一切言及していませんし、信頼できる報道機関でもその名は出ていません。
もし無関係だった場合、これは深刻な名誉毀損になりかねない話。
こういう時こそ、「確かな情報だけを見る」という冷静な判断が求められます。
ところで、「フリーアナウンサーって、そんなに立場弱いの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
実際、地方局で活動する女性アナの多くが“契約社員”や“業務委託”の扱い。
表向きは華やかに見えても、実際は“代わりはいくらでもいる”という扱いを受けやすい存在です。
しかも、地方局は全国放送に比べて制作体制も人手もギリギリ。
訴訟では、スタッフがハラスメントを放置したり、演出で助長したりしたと指摘されています。
だから今回の訴訟は、単に“女子アナが怒った”という話ではないんです。
「このままじゃ、また誰かが傷つく」
「誰かが声をあげなきゃ、変わらない」
そんな切実な思いが込められているように感じます。
顔も名前もわからない女性が、実名で活動していた番組を訴える。
それは、並大抵の覚悟ではできません。
世間は“誰?”と名前を求めたがりますが、番組内で起きた37件のセクハラ行為やその背景こそ重要です。
有名人のスキャンダルを追いかけるより、今後、同じような被害が起きないようにすること。
それこそが、彼女が今回声を上げた一番の理由なのかもしれません。
問題番組名と被害内容とは
問題視されている番組は、TBS系列・あいテレビで2016年から2022年まで放送されていた深夜バラエティ。
番組名は『鶴ツル』と推定され、2023年のBPO審議や報道で関連が指摘されていますが、公式には未確定です。
とはいえ、BPO(放送倫理・番組向上機構)が2023年に審議した内容から見ても、該当する番組は限られており、
BPO審議でも関連が指摘されていますが、訴訟での公式確認はまだありません
この「鶴ツル」、一見するとただの大人向けトークバラエティです。
お酒を飲みながらゲストと語り合うという設定で、地方局にしては攻めた内容だったとも言えます。
しかし、そこで繰り広げられていたのは“おふざけ”の域を超えた明確なセクハラ演出。
出演者による性的な発言だけでなく、それを番組スタッフが盛り上げる編集・演出が問題視されています。
たとえば、司会進行役のフリーアナウンサーに対してこんな発言が飛び出しました
「床上手でしょ?」
「SMどっち?Sっぽいよね」
こんなやり取りが、笑いのテンポに乗せて繰り返されるわけです。
しかも、これは収録中の話ではなく、実際に放送されたというのが衝撃です。
さらに、スタッフはそれに合わせて「3人揃って床上手」などのテロップを画面に表示。
網タイツ姿で鞭を持った女性のイラストが挿入される場面もありました。
“下ネタで盛り上げる番組”という一言で片づけるには、あまりに過激すぎます。
こうした行為は『バラエティのノリ』では済まされず、放送局の安全配慮義務違反が問われています。
被害を受けた女性アナは、精神的にも肉体的にも大きなダメージを受けました。
PTSDやうつ病、不眠や嘔吐などの症状を抱えながら、それでも声を上げた勇気。
2025年6月、彼女はあいテレビを相手取り、4100万円の損害賠償を求めて提訴しました。
テレビというメディアが「面白ければ何でもアリ」という時代は、もう終わりにしなければなりません。
視聴率や話題性の裏で、誰かが泣いているなら、その“笑い”は成立しません。
今後、テレビ業界がどう対応していくのか。
地方局だから許される? 深夜番組だから見逃される?
そんな言い訳が通じない時代に、この訴訟は強烈なメッセージを投げかけています。
あいテレビでセクハラ被害があったという事実。
この訴訟は、テレビ業界の構造的問題を改善し、被害を抑止するきっかけとなる問いかけです。