2023年3月12日、「湯換え年2回」問題で家宅捜索を受けていた福岡の老舗旅館、大丸別荘の山田真・前社長(70歳)が急死されました。

遺書のようなものが見つかり、自殺の可能性が高いとのことです。

山田真さん記者会見

2月28日の記者会見からわずか12日。

記者会見時は普通に受け答えをされていたし、70歳という年齢が信じられないくらいお若く見えました。

「(社長を)退任することになると思うが、今放り出すわけにはいかない。」とはっきりおっしゃっていたのに、まさかこんなことになるとは、誰も思わなかったのではないでしょうか。

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大丸別荘の不祥事

大丸別荘の不祥事とはどういうもので、なぜ発覚したのでしょうか?

 

福岡県によれば大丸別荘を含む複数の施設に立ち寄った県外からの客が昨年の夏、体調不良を訴えて医療機関を受診したところ、レジオネラ属菌が原因だったことがわかりました。

 

このため各施設が検査された結果、大丸別荘の大浴場から基準値の2倍相当のレジオネラ属菌が検出されたということです。

 

大丸別荘側はこの時、「湯はちゃんと交換しているし塩素も適正に注入している」と主張。

 

2ヶ月後の自主検査でも「菌は基準値以下だった」と県に報告。

ところが県が再検査したところ、最大で基準値の3700倍の菌が検出されていたことが判明。

 

公衆浴場法違反の疑いで警察が介入することになり、大丸別荘は大浴場の湯を年2回の休館日にしか入れ替えていなかったことがわかりました。

県の条例では、湯は週に1回以上すべてを入れ替える必要があったということです。

 

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レジオネラ菌は怖い菌?

今回のキーワードとなった「レジオネラ菌」。

普段あまり耳にすることはありませんが、一体どんな菌で、私たち人間にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

レジオネラ属菌とは

レジオネラ属菌は水中や土壌中など自然界に広く存在する細菌です。

このレジオネラ属菌が、消毒されていない水や、入れ替わりの少ない水、水温 20℃から50℃前後の水に混入した時、増殖するおそれがあると言われています。

特に給水・給湯設備、冷却塔水、循環式浴槽、加湿器、水景施設などでレジオネラ属菌が見つかっています。

レジオネラ属菌に感染すると?

レジオネラ属菌に感染するとレジオネラ症を引き起こします。

 

レジオネラ症には劇症型のレジオネラ肺炎一過性のポンティアック熱の2つの型があります。

レジオネラ肺炎
症状 : 発熱、咳、痰、呼吸困難とともに、頭痛、筋肉痛、下痢、意識障害、精神神経系症状などの呼吸器以外の症状もみられます。また、重症となった場合、死亡例も報告されています。
潜伏期間 : 2から10日(平均4から5日症状 :
 
ポンティアック熱
症状 : 発熱、咳、頭痛、筋肉痛がみられます。呼吸器症状は軽微です。
潜伏期間 : 1から2日(平均38時間)

 

●実際に温泉施設で感染して死亡する例も出ていました。

●2002年7月、宮崎県日向市の「日向サンパーク温泉 お舟出の湯」の利用客295人が集団感染し、7人が死亡する大惨事が起きています。

●2022年5月、神戸市の有馬温泉「かんぽの宿」でも利用客の70代男性2人が感染し1人が死亡しています。

 

レジオネラ属菌は風呂での感染が非常に多く、大量繁殖しやすいと言われ、家庭でも一晩お風呂のお湯をそのままにしておくだけでおよそ1000倍に増える可能性があるといいます。

大丸別荘の評判の良さ

今回世間を騒がせた大丸別荘ですが、利用客からの評判は大変良かったようです。

●とにかく雰囲気が良く、ゆっくりできるお宿です。
実家に帰ってきたような、懐かしさのある感じが、のんびりさせてくれます。

●お部屋も広く温泉気持ちよかったです お料理もとても美味しかったです

●皆さん感じが良く、とてもゆっくり楽しめました。お風呂も素敵でした。

●宿泊した部屋、大浴場、料理と非常に良いところでした。
日本庭園もあり、皇室御用達の格式ある非常に素晴らしいところでした。

●温泉の泉質がとても良くて、食事も個室の食事所で、とても美味しかったです。

●全体的にとても満足です。
福岡にもこんな良い温泉旅館があるということをもっと知ってもらいたいですね。

●昔ながらの造りなのに清潔に保ってあり、落ち着く雰囲気です。温泉も広くてきれいで最高の想いでした。食事も美味しくて大満足でした。

●いやぁ~老舗のプライドを心底感じました。
お料理も部屋も館内の細々とした調度品等、全てにおいて品があふれていました。
泉質もなめらかで心身ともに癒されました。

●大浴場は最高です!特に、胸までの深さの立ち湯で、敷き詰められた玉砂利を踏みながら、ゆっくりと歩くと、疲れもとれます!

事件発覚後の書き込みもありました。

●正解だったと思います。お風呂は大変綺麗でした。泉質も良いです。

●報道を見て、とても残念な気持ちです。
信用を取り戻すのは簡単では無いと思いますが、誤魔化さずに、しっかりと悪い所を改めてほしいと思います。

●母とも絶対にまた来ようね、と話しており、大切な思い出の宿になりました。

改善すべきは改善し、どうかこれからも頑張ってください。心より応援しております。

この度は素敵な滞在をどうもありがとうございました。

山田真・前社長の責任の取り方が悲しい

評判を見る限り、大丸別荘は素晴らしい老舗旅館だったようです。

今は情報時代で瞬時にニュースが世界に広まるので、「湯換え年2回」「3700倍のレジオネラ属菌検出」というような言葉のみがクローズアップされ拡散され、ネットなどで炎上騒ぎとなってしまいます。

 

確かに温泉施設として、条例は守るべきだったことは言うまでもないのですが、150年以上の歴史を持つ老舗旅館。

今と違い昔は、もちろん菌の検査や塩素の注入など一切行わず営業していたことでしょう。

現代においてはそのような大雑把な経営は許されず、警察まで介入する大問題に発展してしまうということだと思います。

 

しかし大丸別荘の「湯換え年2回事件」においては体調不良の人が出たというだけで、不幸中の幸いで被害としてはさほど深刻なものではなかったのだから、口コミにもあったように改善すべきは改善し、これからまた心機一転で頑張れば信用も十分取り戻せると思います。

 

山田真・前社長は、記者会見で「レジオネラ菌はあまり大した菌ではないという認識だった」「安易に考えていた」と正直すぎる説明をし、「すべて私の支持」と潔く責任を認めていました。

責任を取るために社長を退任して、それだけでなく自らの手で命まで絶ったのだとしたら、こんな悲しい責任の取り方はありません。

 

聞けば前社長は料理長でもあり旅館の設計にもかかわっていたということ。

長い間大丸別荘を盛りたてるためにご尽力されていたのでしょう。

心からご冥福を祈りたいと思います。

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