愛知県田原市に300年の歴史がある祭りで、「絶対に見てはいけない祭り」というものがあるそうです。
もし見てしまったら、
「病気になる」「目が見えなくなる」などという言い伝えがあるとか…。
祭りなのに「絶対に見てはいけない」だなんて、なんだか不気味です。
ホラーというか怨念めいたものを感じますね。
しかしその祭りがなぜか今年、撮影が許可されたということで話題になっています。
一体どんな祭りで、なぜ見てはいけないと言われているのでしょうか?
目次
見てはいけない祭りってどんな祭り?
この祭りは「寝祭り」と呼ばれています。
祭りが行われる場所は?
行われるのは愛知県田原市にある久丸神社(ひさまるじんじゃ)と、
神戸大宮神明社(かんべおおみやしんめいしゃ)の2社の間です。
【久丸神社】
【久丸神社の場所】
【神戸大宮神明社】
神戸大宮神明社は地図上では見られませんが、久丸神社から約600メートル離れた場所にあります。
祭りの内容は?どんなことをするの?
気になる「絶対に見てはいけない祭り」の内容ですが、
一体どんな秘められたことが行われるのだろう?
呪術的な内容なのかな?
などと思っていたのですが…
内容としては久丸神社と神戸大宮神明社での渡御の神事。
わかりやすく言えば
久丸神社から神戸大宮神明社まで御神体を運ぶこと
なのでした。
「絶対に見てはいけない」のは、その渡御(とぎょ)の行列、ということです。
渡御(とぎょ)って何?
渡御=天皇・みこしなどが出かけて行くこと。おでまし。
御神体を運ぶために屋外を練り歩くところを「絶対に見てはいけない」というから驚きですね。
300年前の人流も物流もほとんどない時代ならいざ知らず、
現代の日本の市街地で、移動する姿を見てはいけないというのはかなり無理がある気がします。
地域をあげて見ないように工夫
久丸神社から神戸大宮神明社までは約600メートル。
この距離を十名前後で行列を作り、三、四十分かけてゆっくり歩き御神体を運ぶのですが、時間帯は午後2時~4時頃。
そんな昼間ならもう、絶対に見てしまう人はいるだろうって感じなのですが…。
この地域では
● 2月に入ると祭礼の日時のお知らせの立て札がたてられる
● 回覧板が回される
● 学校や保育園など人が集まる施設にも一言注意がされる
● 祭礼の日、学校の授業は午前中に終わり、
「寝祭り」に遭遇しないように配慮がなされている
などなど、地域をあげて寝祭りを見てしまう人がいないようにしているのです。
なにしろ300年もの歴史がある神事、地域の方々は毎年の事なので慣れているのでしょうね。
もし見てしまったらどうする?
そしてもし、うっかり見てしまった人がいても、フォローはちゃんと祭礼に組み込まれています。
祭りが終わった後は「謝罪祭」というものが執り行われるので、
それでお祓いをしてもらえば大丈夫、ということです。
「寝祭り」と呼ばれる理由
この祭りがなぜ「寝祭り」と呼ばれるのか?
それはかつて渡御の時刻になると地域の住人は家にこもり、雨戸を閉めていました。
その様がまるで寝静まっているようであるから「寝祭り」と呼び慣わされて来たのだということです。
なぜ祭りを見たらいけないの?
しかしそもそもなぜこの行列を見てはいけないのでしょうか?
諸説あるようですが一説によると
寝祭りは後醍醐天皇の子孫「久丸様」を祀る祭礼だそうで
久丸様は都から逃れ、人目を避けながらこの地に身を隠していたそうな。
行列を見てはいけないのは、久丸様が人と会うのをお嫌いになったからだと伝えられています。
まとめ/祭りの動画
「見てはいけない祭り」というのは地域が一丸となって行う祭礼でした。
長年の歴史がある祭礼ですが、
「見てはいけない」という厳しいルールが祭りの継承に課題となっているため、今回撮影が許可されたようです。
映像で祭りを画面越しに見る場合は問題ない
ということでした。