2023年12月20日、福岡県宮若市の市長塩川秀敏氏が公式の場を設け、謝罪会見を行いました。
40代の女性職員に対して「女は子どもを産んで初めて女になる」と発言したという事についての謝罪のようです。
この、「女は子どもを産んで初めて女になる」というパワーワード。
これが今どきあり得ないセクハラ発言に当たるとメディアで拡散され、
一躍時の人のような扱いとなった塩川市長。
謝罪会見をするに至ったというわけです。
「謝罪するだけでなく、市長を辞職するべき」という厳しい意見も出ているようです。
しかしよくよく考えてみるとこの発言、それほど悪質なのだろうか?という風にも思えます。
メディアが総力を上げてバッシングしていますがこれはいわゆる「言葉狩り」のようなものであって、
多くの人がそれに乗せられ加担している状況とも言えるのかもしれません。
宮若市市長塩川秀敏が起こした問題
そもそも塩川市長はこの発言の前にすでにメディアに取り上げられていました。
職場で激しい叱責などのパワハラを行っているということで
市の職員が市の公平委員会に改善を申し立てていて、
それがニュースとして11月に報道されていたんですよね。
以下がそのニュースの一つです。
ニュースでは冒頭、
『福岡県宮若市の塩川市長が職員に対してパワハラ発言を繰り返した疑いが浮上しました。』
と紹介しています。
このニュースの内容がどんなものかというと…。
・塩川市長へのインタビュー
(塩川市長は叱責発言を認める)
・ドライブレコーダーで撮影された公用車内の映像
(訪問先でスマホを見ていたらしい若い職員に後部座席から「すみませんですむか!」と大声で叱責する塩川市長の様子が映っている)
・市長室内で録音された音声
(「なめてんのか仕事を!」「そんならお前辞めればいいじゃないか!」という塩川市長の声)
・問題発言提示
(共働き職員が同時に育休を申請した際に、塩川市長が「二人同時に育休を取る必要があるのか」と発言したという事を問題視)
・市の職員の1人の話
(市の職員の1人が取材に応じて、塩川市長について「感情に任せた暴言ばかり」と話したという)
しかしこのニュースで流した塩川市長の映像や音声は、本人の了承を得た上で放送しているのだろうかという点が気になります。
部分的な切り取りを繋げて編集しているし、全体の構成が塩川市長が悪であると印象づけようとする意図があるように感じるのですが…
私の思い過ごしでしょうか?
激しい叱責の部分だけを取り上げて、なぜ叱責したのかという情報は提供されていないので、塩川市長の悪質なパワハラだと即決することはできないと思います。
共働き職員が同時に育休を申請した際の「二人同時に育休を取る必要があるのか」という発言などは特に、
上司としてむしろ普通ではないかと思いますが…。
もし同じ職場で働く夫婦が同時期に育休が取れるとしたら、それこそ理想的な職場であるに違いありませんが、
今の日本の現実を考えると夢のような話にしか思えません。
塩川秀敏は悪くない?
このニュースの内容について、コメント欄に塩川市長は悪くないのでは?という意見が多く寄せられていました。
・あえて市長が悪く見えるように報道している印象を受けます。
訪問先でスマホ弄ってるとか普通に考えてありえないですし、怒られて当然。
・偏向報道じゃないでしょうか?マスコミの質問の仕方も威圧的。
少なくとも職員の仕事中の態度(スマホを見ていた等)で叱責を受けるのは当然で、むしろ反省すべきことでは。
・この報道した人はしっかりと本質を見極めるべき。
なぜ怒鳴られたかも報道して、報道によるミスリードがないようにしてもらいたい。
言葉狩りかセクハラ発言か?
そして今回の「女は子どもを産んで初めて女になる」発言ですが、
なにかこの言葉がひとり歩きして、SNSで炎上しているようです。
・「頭の中は昭和のままか」
・「女性蔑視」
・「人権を無視した暴言」
・「こんな奴が政治をするな」
・「自治体の長がジェンダーに疎くてはダメ」
等々、大変な叩かれようです。
当の塩川市長はこの発言について、「そんなことを言ったか覚えていないが不快感を与えてしまったことは申し訳ない」と謝罪。
しかしこの「女は子どもを産んで初めて女になる」という言葉ですが、
確かにこの言葉だけを聞くと『子どもを産まない女は女じゃない』という差別発言のように受け取れます。
塩川市長は昭和20年代生まれの九州男児。
男尊女卑の精神が色濃く残った最後の世代なのでしょうか?
昭和初期なら問題にならなかったのかもしれません。
実際に塩川市長も周囲の大人のそんな言葉を聞きながら育ったのかもしれませんね。
しかし今は令和。
令和という時代の逆鱗に触れてしまったんですね。
・・・と思っていたのですが
もしかしたらこれも言葉のみをあえてクローズアップしたもので、いわゆる「言葉狩り」というものに近いような印象を感じます。
セクハラを受けた女性は出産経験あり
ニュースをよくよく読んでみると、塩川市長から「女は子どもを産んで初めて女になる」と言われたという40代の女性職員は、子どもを持つお母さんなんですね。
言葉というのは同じ言葉でも伝える相手によってその意味が大きく変わります。
今回の言葉も、子どもを産んだことのない女性に対して言うのと子どもを産んだ女性に対して言うのは全然違うと思います。
公の場で自論として述べたわけでもなく、子どもがいる女性に対して「女は子供を産んで初めて女になる」と言ったという話なら、そんなに目くじらを立てるほどの発言なのかと思います。
最もこの女性は「親しくもないのに踏み込んだ発言で不快だった」と市の関係者に話したそうで、言われたほうが不快を感じたのならそれはセクハラ発言となってしまうのでしょうか?
そしてそもそも問題なのは、塩川市長は「そんな言葉を言った記憶がない」と言っているんですよね。
ニュース番組ではアナウンサーが、「記憶がないとは呆れますね!」などと言っているのですが、実際に言ったかどうかは、音声の録音などがないのなら真実は第三者にはわかりません。
なのになぜか女性の言い分が真実であるということを前提にして報道されています。
これって正しい報道と言えるのでしょうか?
まとめ
腑に落ちない点はたくさんありますが改めてメディアの力は巨大だと思いました。
たとえ筋は通っていても、大声で叱責することは今の時代はパワハラということになってしまうんですね。
そして本当かどうか証拠がなくても女性に「不快な思いをさせられた」と言われればセクハラに…?
メディアにより報道され糾弾されてしまっては、たとえ真実と乖離していても一個人はひとたまりもありません。
謝罪会見を行わざるを得なくなった宮若市長塩川秀敏氏。
これも令和の時代に上に立つ人間の責任としてやむを得ないことなのでしょうか。