「アナログ人間」という言葉を聞いたことがありますか?
アナログ人間とは
PC業務やデジタルツールの操作に苦手意識を感じる人
ということで、
まさに私のことなんですけどね…。
だってね、私なんか家に黒電話があった世代ですから。
大人になり子供を生んでからですよ、携帯電話を初めて買ったのは。
それも、『私は携帯電話なんかいらない。必要ない。』と思いながら、時代の流れに押されて仕方なく買うことに。
そのうちスマホが出てきてこれも嫌だなあと思いつつ、ガラケーだと色々と不便になり仕方なくスマホにしました。
パソコンなんかに至っては毛嫌いしていたんだけど、令和の今、さすがにそんな事は言ってられない。
職場においてはパソコンを触らなければ何も始まらないような状況になってしまっている。
若者たちは時代の波の先端に乗っているので難なくサクサクと使いこなせるんだろうが、我々のようにいい歳になってから突然デジタルツールに向き合う羽目になった者にとってはツールそのものが馴染みがないのだ。
だから面倒くさい。
大体、我々昭和ど真ん中世代は学生時代にデジタルツールなんてなかったんだから、どこかで腰を据えて独学で学ばない限りちゃんと出来なくて当たり前なのだ。
まあでもね~、こんなアナログ人間でも、デジタル使いこなせなくても、生きていけないわけじゃないからさ。
そんなことを思っていたが、つい最近『やっぱりこれじゃいかんかった!』と強く感じる出来事があった。
今回はその事を書いてみようと思う。
ある日火事場に遭遇する
ある日のこと、仕事が終わり帰宅した夜お気に入りのレシピで夕飯を作り、さあ食べようかという時だった。
外から突然、女の子の泣き声が聞こえてきた。
うちは集合住宅の3階なんだけど、すぐ下の通りの方から聞こえてくる。
しかも異常に激しい泣き声。
声からして小学校低学年くらいだろうか?
こんな夜に外で泣いてるなんて、まさか虐待!?
思わず窓を開けて、ベランダに出て下の方を見てみた。
すると隣の建物の1階の玄関ドアが開いていて、そこから女の子らしき人影が出たり入ったりしていた。
女の子は隣の建物の住人らしい。
そしてもう狂ったように泣き続けている。
『親に怒られているのか?』
そう思って見ていると、開いた玄関ドアから煙がモクモクと出ているのが見えた。
煙は広範囲に広がり、3階のベランダに立つ私にまで届いた。
け、煙い…。
これはヤバい!これは火事だ!
通報しなきゃ!
(下手な絵ですがベランダに立つ私から見た現場の様子)
119番通報する
私は部屋に戻りスマホを手に取り、119番通報した。
すぐにオペレーターの女性が出る。
「火事ですか救急ですか?」
と聞かれ
「えーと火事…だと思います。」
と答えた。
住所を聞かれて、答える。
その直後、オペレーターの女性が言い放った言葉に私は衝撃を受けた。
女性はなんと言ったか?
「火事の現場を撮影して、動画を送って下さい。」
火事の現場の動画撮影
火事の現場を撮影して動画を送る?
ハイ、わかりました!と言ってすぐに行動に移せる市民が一体どれくらいいるのだろうか。
ちょっとした動画撮影ならスマホで日常的にやっているからできると思うが、それを今ここからどうやって送ればいいのか?
私は衝撃を受けながらも、
「えーと、切ってからですか?」
みたいなことを聞いたと思う。
オペレーターさんは、
「いえ、今からショートメッセージを送りますのでそれに登録して、スピーカーにしたまま撮影してください。」
ごく普通におっしゃった。
自称アナログ人間の私がこの時内心どんなに狼狽したか、もし同じアナログ人間の人がいたら、わかって下さると思う。
なんとか送ることが出来た動画
「ショートメッセージは届いていますか?」
オペレーターさんの声にハッとして見ると、確かに私のスマホに何やらメッセージが届いている。
よくわからないままそれをタップすると画面が切り替わり、撮影モードになった気がする。
なのでそのまま撮影した。
「見えました。」
というオペレーターさんの声が聞こえた。
ただスピーカーにすることができない。
普段スマホで電話する時スピーカーにすることはよくあるのに今回は焦っていたのか、いつもと状況が違うからか、うまく出来なかった。
撮影しながら話もできる状態が理想だったとおもうが残念なことにそれは出来ず、仕方なく撮影しつつ時々耳に当てて話す、という格好でやっていた。
そうこうしているうちに
「今他の方からも通報がありました。ありがとうございました。」
ということでとりあえず私の通報は終わった。
ほどなくして消防車がやってきた。
(実際の現場の画像)
結果的に火事は周囲に広がることもなく負傷者も出なかったようで良かった。
後で聞いたところによると当時女の子の親は不在で、女の子1人の時に起こったボヤ騒ぎだったようだ。
女の子の年齢や詳しい事情はわからないが、夜子供を1人にしておくなんて怖いことだと思った。
アナログ人間のままではいけない
この経験を通して、やはりアナログ人間のままではいけないと悟った。
『自分なんてもう年だし、ついていけないよ』
なんて言っていたのは、要するに怠けていたかっただけかもしれない。
現実の世の中はもう社会の構造やシステム自体が変わっているのだから、自分も社会に参加するためには変わらなければいけないのだ。
そうでないと人を助けることも満足に出来なくなる。
逆に言えば、スキル一つで人の役に立てる。
だったら時代の流れに逆らったり、あえて停滞する意味なんてどこにもない。
デジタルスキルを身に付けて楽しく生きよう
とはいえ固くなった頭に新しい知識やスキルを覚え込ませるのは難儀だ。
周りの同年代の人は口をそろえてのたまう。
「若い時は脳が柔軟だったから何でも覚えられたけど、この年で新しいこと覚えるなんて出来ない。」
私もそう思っていた。
でもそれは実は、何もしないで済ませるための言い訳なのかもしれない。
ネットであれこれ調べていたら、日本には60歳を過ぎてからパソコンを始め、アプリを開発し、世界最高峰のプログラマーになった女性だっているのだ。
なんと89歳の今も現役で活躍されていて、ご自分がパソコンでデザインした服を着て、「60代、70代はまだまだ若い。」なんておっしゃっているそうだ。
神奈川県藤沢市の若宮正子さんという方だが、その方の言葉を借りると
時代の波に乗ることができる人の特徴は、潔く進化を受け入れ、かくなるうえは楽しもうと心の切り替えが早いこと。
機械に強いか、弱いかなどは、関係ないという気がします。
ということだ。
そう、潔く進化を受け入れることが大事なのだ。
若宮さんのようにプログラマーにまではなれなくても、デジタルスキルを普通に身につけることは凡人にだって十分可能だし、何より新しい時代に積極的に関わろうとする姿勢は、いたるところで様々な恩恵を受けることに繋がるだろう。
なにより世界が広がって楽しいだろうと思う。
要は気力の問題だ。
歳を重ねると体力も気力も落ちてくるというけれど、そのまま放っておいたらひたすら落ちていくばかりだろう。
自分を励ましながら少しずつでもスキルを磨いて、デジタルツールを軽々と使いこなせるカッコいい老人になろう。
少なくとも『もうトシだから。』とボヤく人よりずっと楽しい人生が送れそうだ。