
中森明菜が8月17日放送の「ミュージックステーション 」に30年ぶりに生出演した事が大きな話題になっている。
極度の緊張のせいか手は大きく震え、目には涙が光っていた。
私は中森明菜とほぼ同年代で、彼女の若く弾けるような最盛期を知っているので、正直『ずいぶんやつれたし、痛々しいなあ…』と、まず思った。
もともと特にファンというわけではなかったし、むしろ類まれなる美貌と才能に溢れているのになぜかいつもどこか自信無さげでオドオドしている中森明菜にあまり好感を持っていなかったような気がする。
しかし今回、その気持ちは大きく変わることになった。
目次
中森明菜の金屏風会見とは?
SNSを眺めていると、中森明菜が生中継で歌ったことで沢山の人が喜び感動しているようだ。
しかし元トップアイドルとは言え彼女はもう60歳を超えていて、世間では老人と言われる年齢だ。
長い間彼女の復帰を待っていた人が大勢いるということだろうか。
感心していると「中森明菜 金屏風会見」というワードが目についた。
どうやら中森明菜が自殺未遂事件を起こした後の記者会見を指しているらしいが、同時代を生きていながら私はこの会見のことをほとんど知らなかった。
なにしろ当時はインターネットなど身近になく、スマホなんかもちろんないから中森明菜の自殺未遂のニュースには驚いたけど、その後のことはよく覚えていない。
しかし1989年12月31日に行われたこの「金屏風会見」は、今なお芸能史に残る異例の記者会見として語り継がれているようで、現在でも「中森明菜は騙されて会見に出席したのではないか」という説があるようだ。
結論から言うと、中森明菜が「騙されていた」という事実を裏付ける公式な証拠はない。
一方で、金屏風という演出や会見当日の流れがあまりにも不自然だったため、多くの人が「何か裏事情があったのでは」と感じたのは事実。
では、なぜ今も「騙された説」が語り継がれているのか。
金屏風会見は結婚発表の場だったのか?
まず整理しておきたいのは、この会見の位置づけだ。
結論から言えば、公式には結婚発表の場ではない。
1989年7月、中森明菜は当時交際していると噂されていた近藤真彦の自宅マンションで自殺未遂を起こし、その後約半年間、芸能活動を休止する。
そして12月31日に開かれたのが、この復帰会見なのである。
会見には中森明菜と当時の所属レコード会社社長が出席し、途中から近藤真彦も参加している。
ところが、会場には大きな金屏風が設置されていた。
芸能界では金屏風は婚約や結婚発表で使われることが多く、当時は報道陣も「婚約発表ではないか」と色めき立ったらしい。
しかし実際には、近藤真彦は結婚について質問され「そういうことは全くない」と明確に否定する。
金屏風設置という会場演出は、ホテル側が「復帰を祝う席」として用意したという説が現在は主流になっているようだ。
ただ、この演出こそが後々まで多くの憶測を生むきっかけになった。
中森明菜は騙された?噂の根拠を整理
ここで気になるのが、「中森明菜は騙されて会見へ出席した」という噂の背景である。
この説が出回ったのは、いくつかの理由が挙げられている。
まず大きいのは、明菜自身が結婚を望んでいたと報じられてきたことだ。
約6年間と言われている交際期間はかなり長く、家族公認だったという話もある。
一方で、近藤真彦は結婚に関しては消極的だったと伝えられている。
この温度差があったことから、「明菜だけが結婚への期待を持っていたのではないか」という見方が生まれたのだ。
さらに語られるのが、メリー喜多川氏が関与したという説である。
自殺未遂後、メリー氏が病院を訪れたことや、明菜と接触していたという証言が一部で語られていて、そこから次のようなストーリーが後年広まるようになった。
- 会見はジャニーズ側が主導したという見方。
- 結婚発表だと明菜に説明されていたという説。
- 実際には結婚を否定する会見になってしまった。
ただし、これらを裏付ける一次資料や本人証言は確認されていない。
しかし、会見当日の中森明菜は終始うつむき加減で、涙を流しながら謝罪を続けていた。
そんな中での近藤真彦が結婚を否定した際の表情について、「ショックを受けたように見えた」と受け取る人が少なくなかったようだ。
こうした映像の印象が、「本人は結婚できると思っていたのではないか」という解釈につながったのかもしれない。
騙された説を裏付ける証拠はあるのか
現時点で、中森明菜が「騙された」と断定できる証拠は確認されていない。
実際に確認できる情報を整理すると、以下の通り。
- 金屏風が設置されていた。
- 会見で近藤真彦が結婚を否定した。
- 中森明菜は後年「あんなことになるとは思っていなかった」と語っている。
- 復帰会見が結果的に謝罪&結婚否定会見のような雰囲気になった。
一方で、事実として確認されていないのは次の点です。
- 結婚発表と説明されていたこと。
- メリー喜多川氏が意図的に騙したこと。
- 会見そのものが結婚発表として企画されていたこと。
つまり、「騙された説」は複数の状況証拠から生まれた推測という位置づけなのである。
中森明菜の「あんなことになるとは思っていなかった」という発言も、会見全体が想像以上にネガティブな展開になったことを振り返ったものと解釈されている。
それでも騙された説が今も語り継がれる理由
それでも30年以上経った今も、「中森明菜騙された説」は語り継がれているようだ。
その理由は、当時の出来事があまりにも不自然に重なっていたことだと思う。
復帰会見なのに金屏風。
謝罪する中森明菜。
途中から現れた近藤真彦。
そして、結婚を明確に否定する発言。
いろんな事がちぐはぐで、「何か裏で予定が変わったのでは」と感じる人がいても不思議ではない気がする。
結局、中森明菜が自殺未遂まで起こした理由はわからなかったし、近藤真彦は「結婚はない」と明言して責任逃れした。
中森明菜は会見の中で結婚をきっぱり否定されることを承知していたのだろうか?
もし知らなかったら、当時まだ23歳だった彼女にとって、それは血の気が引くような衝撃だったのではないだろうか。
もちろん真実はわからない。
しかしその後のジャニーズ事務所を巡るさまざまな問題が明らかになったことで、「当時も何か隠されていたのでは」という見方が後から強まってもごく自然なことだ。
人は証拠のあるなしだけで物語を信じるわけではない。
点と点が一本の線につながるように見えたとき、「きっとこうだったのでは」と考えたくなるものだ。
金屏風会見の「騙された説」も、まさにその典型と言えるかもしれない。
現時点で確認できる事実だけを見ると、「中森明菜が結婚発表だと信じて会見へ臨んだ」と断定するには無理がある。
しかし、そう思われるだけの違和感が会見全体に残されていたことも、また否定できない。
だからこそこの金屏風会見は単なる復帰会見ではなく、「芸能史最大の謎の一つ」として今なお多くの人が語り継いでいるのだと思う。
中森明菜を応援する人の多さ
冒頭に書いたように私は最初、中森明菜が生中継で歌ったことを沢山の人が喜び感動していることが少し意外だった。
それはおそらく私が今まで、中森明菜の事をあまり深く知ろうとしなかったからだと思う。
昔から見ていてわかるのは、彼女が不器用で、今流行りの「あざとさ」とは無縁の人だという事だ。
もう少し上手く立ち回れないものだろうか?と思わせる要領の悪さを感じてしまう。
気がついたら結局狡猾な人たちによって、惨めな敗者という立ち位置に追いやられてしまっていたのが中森明菜だったのではないか。
熾烈な足の引っ張り合いなど日常茶飯時であろう芸能界の水は、中森明菜が泳いでいくには過酷過ぎたのかもしれない。
実際にはどんな魔物が彼女を苦しめていたのかは誰にもわからないが、長い間ステージに立つことができなかったのは、本人も不本意だったに違いない。
しかし応援し待ち続けるファンのために、61歳という年齢になりやっとマイクを持ち、震えながらも生中継で歌う事ができた。
その姿に感動し喜ぶ人たちは、中森明菜が不器用ながらも人生を諦めず、頑張る姿に自分自身を重ね合わせているのだろうか。
私も今回、何も取り繕うことができずガタガタ震え気の利いたコメントも出来ない彼女の姿に、結局芸能界に染まることが出来なかった1人の純粋な女性の生きざまを見せられたような気がした。
昭和の歌姫という称号が与えられた中森明菜ではあるが、彼女が幸福に満ちた瞬間というのは果たしてどれだけあったのだろうか?
中森明菜というビッグネームに群がり利用しようとする輩は、昔と変わらず今現在も存在するに違いない。
もうこれ以上彼女に不幸が近づかないように祈るばかりである。
