2025年11月、大分市佐賀関で発生した大規模火災は、170棟以上が焼ける深刻な被害となりました。

 

その被害の大きさについて、専門家や報道では「空き家の多さが被害拡大を招いた」と繰り返し指摘しています。

 

「なぜ空き家が多いと火災が広がるのか?」

「人が住んでいても、結果は変わらなかったのでは?」

 

そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

 

この記事では、大分佐賀関火災の被害が拡大した原因をわかりやすく解説し、空き家と火災の関係性や、全国にも共通するリスクについて紹介します。

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大分佐賀関火災で被害が拡大した背景とは?

2025年11月に発生した大分市佐賀関の火災では、170棟以上が焼失し、住民の避難や交通規制が行われるなど、地元に深刻な影響を与えました。

 

特に被害が集中したのは下浦地区や八町大路といった、古い木造家屋が密集する地域です。

 

この火災がここまで大規模になった背景には、「空き家の多さ」が密接に関係していると専門家が指摘しています。

テレビや新聞の解説でも、「空き家が被害を拡大させた」と繰り返し言っています。

 

では、なぜ空き家の存在が火災の被害をここまで広げてしまったのか?
次の章でその理由を5つに分けて詳しく見ていきます。

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空き家が火災の被害を拡大させる5つの要因

佐賀関火災では、以下の5つの要因によって、空き家が火災拡大の“助燃材”のような役割を果たしました。

 

1. 初期消火や通報が遅れた

空き家が多いということは人が住んでいないということ。
そのため出火にすぐ気づける人がいません。

煙や火を見て通報する人も少なくなります。

実際、今回の火災でも最初の119番通報は出火から数十分後だったと報じられました。

 

初期の対応が遅れると、炎は一気に広がってしまいます。

人の目がないエリアでは、火災の早期発見そのものが難しいという現実があります。

 

2. 延焼防止の作業ができなかった

誰かが住んでいれば、火の手が迫ったときにバケツリレーをしたり、庭に水を撒いたりすることで延焼を防ぐ努力ができます。

しかし、空き家ではそのような対応が不可能です。

 

無人の家が並ぶ地域では、火が発見されず、消そうとする人もおらず、そのまま隣家に延焼してしまう危険性が高まります。

 

3. 防火帯がないまま家が密集していた

佐賀関の火災地域は、古い木造住宅が密集するエリアでした。

本来なら家が解体され、更地となって「防火帯」となるはずの空き家も、放置されたまま建物が残っていたため、延焼を止める空白地帯が存在しませんでした。

 

その結果、家から家へと“ドミノ倒し”のように火が燃え移る状況となってしまったのです。

 

4. 消防車が近づけない狭い道に空き家が集中

火災が発生した地区は、道路幅が2〜3メートル程度と非常に狭く、消防車が現場近くまで入れない状況でした。

そのため、消防団は数百メートルもホースを引っ張って対応せざるを得なかったと証言しています。

 

こうしたインフラの古さは、空き家が多い地域に共通する課題でもあり、迅速な消火活動を妨げる要因となっています。

 

5. 空き家は燃えやすい状態で放置されていた

多くの空き家は、屋根や壁が劣化し、室内には古い布団や新聞、灯油などが放置されている場合もあります。

さらに、管理が行き届かないことで家の周囲に枯れ草やゴミが溜まり、非常に燃えやすい環境となっているのが現実です。

 

今回の火災でも、こうした火の回りやすさが被害を加速させたとみられています。

 

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佐賀関地区の空き家率が全国平均の2倍以上?

空き家が火災被害を拡大させた背景には、そもそもこの地域に空き家が極端に多かったという現実があります。

 

大分市佐賀関地区の空き家率は、なんと約30〜35%とされており、全国平均の13.6%と比べても2倍以上の高さです。

中でも今回の火災で被害が集中した下浦・八町大路エリアでは40%超という推計もあり、空き家が密集していたことが大火災を招いた要因となりました。

 

少子高齢化や過疎化が進む中で、こうした“高空き家率エリア”は全国的に増えており、同様のリスクはどの地域にも潜んでいます。

空き家対策は防災対策?

この火災を受けて、改めて注目されているのが「空き家対策と防災」の関係です。

 

国土交通省や消防庁は以前から、「空き家対策は消防防災対策でもある」と位置づけており、自治体にも管理強化や適切な処分を促してきました。

 

しかし、実際には所有者不明や費用負担の問題から、空き家が放置されがちなのが現状です。

佐賀関の火災は、この警告を裏付ける“典型例”となってしまいました。

 

今後、空き家の放置が防災リスクにつながるという意識を、行政・住民ともに共有し、抜本的な対策が求められる段階に入っています。

まとめ

大分市佐賀関で起きた火災は、170棟以上が焼ける深刻な被害となりました。

その裏には、単なる偶然ではなく、「空き家の多さ」が引き起こした構造的なリスクがありました。

 

人がいないことで通報や初期消火が遅れ、老朽化した建物に火が回りやすく、密集した家々に次々と燃え移る。

さらに、狭い道により消防車の対応も遅れたことで、被害が一気に広がってしまいました。

 

今回の火災は、「空き家問題」がいかに防災と密接に関わっているかを全国に示す警鐘でもあります。

 

地方だけでなく都市部でも、同様のリスクは潜んでいます。

空き家は“管理されていない家”であると同時に、災害時には“人命や街を脅かす存在”にもなり得ます。

 

今後、私たち一人ひとりが空き家問題に目を向け、防災意識と共に地域の安全を守る取り組みが求められているのではないでしょうか。

 

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