
2026年夏の甲子園で、「これ高校生のプレー?」と言いたくなるような守備が飛び出しました。
主役は、北北海道代表・白樺学園の二遊間を守る金井瀬那(かない・せな)選手と後藤健(ごとう・たける)選手です。
2人の名前から「セナケン」と呼ばれる2年生コンビ。
8月8日の東日本国際大昌平戦では、金井選手のダイビングキャッチから後藤選手の素手キャッチ、そして一塁送球という鮮やかな連係で併殺を完成させました。
「プロ級」「メジャー級」と騒がれたのも納得のプレーです。
ただ、すごいのは一瞬の美技だけではありません。
金井選手は同学年の後藤選手に刺激されながら守備を磨き、後藤選手は大けがから復帰して甲子園までたどり着いています。
偶然生まれたスーパープレーに見えて、実は2人が積み重ねてきたものがギュッと詰まった数秒間だったんです。
白樺学園「セナケン」の超美技とは?
「セナケン」が甲子園を沸かせたのは、2026年8月8日に行われた全国高校野球選手権大会1回戦、東日本国際大昌平との試合でした。
白樺学園にとって、絶体絶命ともいえる場面です。
1-1で迎えた8回表、1死一、二塁。
二遊間へ鋭いゴロが飛びました。
ここで二塁手の金井選手が横っ跳び。
抜ければ勝ち越しにつながりかねない打球を、ダイビングキャッチで止めます。
これだけでも十分ファインプレーなのですが、「セナケン」の見せ場はここから。
金井選手は二塁ベースへ入った後藤選手へグラブトス。
ところが、トスは決して処理しやすいものではありませんでした。
後藤選手は持ち替えでミスをする可能性があると瞬時に判断し、グラブとは反対の右手でボールを素手キャッチ。
そのまま一塁へ送球し、併殺を完成させたのです。
判断が速い。
しかも、2人とも慌てているように見えません。
中日の名二遊間として知られた荒木雅博さんと井端弘和さんの「アライバ」を思い出した野球ファンがいたのも分かります。
SNSでも「プロ顔負け」「メジャー級」「鳥肌立った」といった反応が出ました。
白樺学園は試合には1-2で敗れています。
それでも、敗れたチームの守備がここまで強く印象に残った。
それだけでも、あのプレーのインパクトが分かりますよね。
そして面白いのは、金井選手本人も予想していなかったプレーだったこと。
試合後には「野球は気持ち。気持ちで捕れた」という趣旨のコメントを残し、練習でも見たことがないプレーだったと振り返っています。
一方、後藤選手は素手で捕った理由を冷静に説明しています。
派手なプレーなのに、その中身はかなり合理的なんです。
金井選手の執念と、後藤選手の瞬間的な判断力。
この2つがつながったからこそ、あの併殺が生まれたのでしょう。
金井瀬那は守備で成長した努力の二塁手
金井瀬那選手は、白樺学園の2年生。
右投げ両打ちで、身長167cm、体重64kg前後とされています。

道新スポーツ
小学時代は上江別ブルードリームズ、中学では南空知ベースボールクラブでプレーし、2025年に白樺学園へ進学しました。
現在は二塁手ですが、もともとは遊撃手志望。
しかも高校入学時には、守備へのかなり強い自信を持っていたようです。
ところが白樺学園で出会ったのが、同じ2年生の後藤選手でした。
金井選手は後藤選手について、初めて自分より守備がうまい選手を見たというほどの衝撃を受けたとされています。
これは悔しかったはずです。
自信を持って高校へ入ったら、同学年に「自分よりうまい」と思わされる選手がいる。
しかも、希望していた遊撃のポジションにはその選手がいるわけです。
金井選手は控え二塁手からのスタートとなりました。
ここで腐るのか。
それとも、別のポジションで追いつくのか。
金井選手が選んだのは後者でした。
自主練習を重ねて守備を磨き、やがて後藤選手と二遊間を組む存在へ成長します。
この経緯を知ると、甲子園で見せたダイビングキャッチの見え方もちょっと変わってきます。
単なる「運動神経のいい選手がスーパーキャッチした」ではないんですよね。
自分よりうまい選手との出会いが、金井選手をさらにうまくした。
ライバルだった相手と二遊間を組み、最後は甲子園で全国を驚かせる併殺を完成させる。
なかなか出来すぎたストーリーです。
さらに、金井選手の兄・金井颯さんも白樺学園野球部OB。
2年前には甲子園メンバーに入った経験があり、今回はスタンドから弟を応援していました。
兄が立った甲子園へ今度は弟がやって来て、しかも全国ニュースになるほどの守備を見せる。
金井選手にとって、忘れられない夏になったのではないでしょうか。
後藤健は最速147キロの二刀流候補
「セナケン」のもう一人、後藤健選手もかなり気になる存在です。
2009年7月22日生まれで北海道帯広市出身。
右投げ両打ちで、身長177cm、体重78kg。

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小学4年から明星・花園シャークスで野球を始め、中学ではとかち道東ボーイズでプレーしました。
白樺学園では1年春からレギュラー入りした実力派です。
遊撃手として金井選手と二遊間を組んでいますが、それだけではありません。
投手としても最速147キロを記録している二刀流候補。
甲子園の東日本国際大昌平戦でも、9回から2番手投手としてマウンドへ上がりました。
ショートであれだけの守備を見せて、さらに147キロを投げる。
高校2年生と考えると、かなり夢がありますよね。
ただ、後藤選手の2026年は順風満帆だったわけではありません。
3月に左肘を脱臼骨折し、靱帯も損傷する大けがを負いました。
全治1年の可能性まで指摘されたほどだったとされています。
普通なら、「今年の夏は難しいかもしれない」と考えてしまうところでしょう。
ところが、驚異的な回復を見せて5月には実戦へ復帰。
北北海道大会では21打数12安打、打率.571、5打点を記録しました。
投手としても3試合に登板しています。
そして甲子園へ。
数カ月前に大けがをしていた選手が、全国の舞台で素手キャッチから併殺を完成させ、さらにマウンドにも上がったわけです。
後藤選手が甲子園で見せた落ち着きは、技術だけでは説明できない部分もあるのかもしれません。
好きな選手として挙げているのは、ソフトバンクの今宮健太選手。
華麗な守備と強肩で知られる遊撃手だけに、後藤選手がどんなショートを目指しているのか、少し想像できますよね。
まだ2年生。
ここから身体がさらに成長し、投手としての球速も伸びれば、「好守のショート」という枠だけでは収まらない選手になりそうです。
「セナケン」は互いを高めるライバル関係
「セナケン」の魅力は、金井選手と後藤選手がただ仲のいい二遊間コンビというだけではないところ。
金井選手は後藤選手を「良きライバル」と見ています。
そもそも金井選手が守備をさらに磨くきっかけになったのも、同学年の後藤選手との出会いでした。
普通なら、ポジションを争う相手です。
ところが2人は、競争するだけではなく、一緒に二遊間を守る関係になりました。
朝の自主練習では、さまざまな状況を想定して連係を確認していたとされています。
だからこそ甲子園の大舞台でも、金井選手が飛びついた瞬間に後藤選手が二塁へ入り、難しいトスにも対応できたのでしょう。
もちろん、あの素手キャッチまで練習通りだったわけではありません。
むしろ最後の部分は、とっさの判断でした。
でも、とっさの判断をしてもコンビプレーが崩れなかった。
本当の意味で息が合っている二遊間というのは、決められた動きを同じようにできる2人ではなく、片方が予定外の動きをしても、もう片方が合わせられる2人なのかもしれません。
そして何より楽しみなのは、2人がまだ2年生だということです。
2026年夏の甲子園では初戦敗退となりました。
「セナケン」の夏も、そこで終わっています。
でも、2人の高校野球は終わっていません。
悔しい敗戦の中で全国に名前を知られた二遊間コンビが、あと1年でどこまで成長するのか。
今回の超美技は完成形ではなく、もしかすると「セナケン」が全国に見つかった最初のプレーだったのかもしれません。
