2025年7月26日、市川市動植物園で生まれたニホンザルの赤ちゃん「パンチくん」。
誕生直後に母ザルが育児放棄したというニュースが広がり、「パンチくんの育児放棄はなぜ起きたの?」「猿の世界ではよくあることなの?」と疑問に思う人が増えています。
結論から言うと、今回の育児放棄に関しては母猿が初産だったことと、2025年夏の猛暑による体力低下が重なったことが大きな要因だと、飼育員さんが説明しています。
そして実は、ニホンザルの世界では決して珍しい現象ではありません。
パンチくんの育児放棄はなぜ起きた?
パンチくんの母ザルは今回が初めての出産でした。
飼育員によると、出産当日は2025年夏の厳しい猛暑の真っただ中。
母ザルは出産でぐったりしてしまい、生まれた翌日から子ザルに興味を示さなくなったといいます。
初産の母ザルは育児経験がなく、抱き方や授乳の仕方がうまくいかないケースが一定数あるそうです。
そこに高温ストレスや出産の負担が重なると、育児意欲が低下し、放置につながることがあります。
市川市動植物園は異変にすぐ気づき、人工哺育へ迅速に切り替えました。
この判断が、パンチくんの命をつないだ形になります。
ニホンザルの育児放棄は多いの?
「母親なのに育てないなんて…」と驚く声もありますが、ニホンザルの育児放棄は一定割合で起こる自然な現象です。
特に起こりやすいのは次のようなケースです。
・初産で経験がない
・猛暑や悪天候などの環境ストレス
・群れ内での順位が低くプレッシャーが強い
飼育員さんによると、親ザルによる育児放棄は「一定割合で見られる」もので、野生ではこうした子ザルの生存率が低く自然淘汰されやすい一方、動物園では人工哺育で命が救われるため私たちの目に触れやすいのです。
人工哺育でも将来は大丈夫?
現在パンチくんは、飼育員によるミルクで育てられています。
ぬいぐるみの「オランママ」を母親代わりに寄り添わせながら、少しずつ成長中です。

毎日新聞
母ザルは群れに戻っていますが、人工哺育期間が長くなったことで「自分の子」という認識は薄い状態だといいます。
過去にも同園では2008年生まれの「オトメ」というメスザルを人工哺育で育て、無事に群れに戻した実績がありますが、オトメはその後2児の母となり現在は孫もいる立派な存在になりました。
つまり、人工哺育=将来に問題が残る、というわけではありません。
適切なケアと段階的な群れ復帰によって、社会性は十分に育まれる可能性があります。
まとめ
パンチくんの育児放棄はなぜ起きたのか。
その背景には、初産という経験不足と2025年夏の猛暑という過酷な環境がありました。
ニホンザルの育児放棄は決して特別な出来事ではなく、自然界でも一定割合で見られる現象です。
動物園だからこそ人工哺育で命を救うことができ、多くの人が成長を見守れるのです。
ぬいぐるみの「オランママ」とともに元気に過ごすパンチくん。
これからどのように群れに馴染み、成長していくのか、温かく見守りながら、その歩みを応援していきたいですね。
