
オリンピックやWBCなどの国際的なスポーツの舞台で、台湾が「チャイニーズタイペイ」という名前で呼ばれるのをご存知でしょうか?
なんだか少し複雑な気持ちになりますよね。
この名称の裏には、国際政治の微妙な駆け引きと、台湾の人々の複雑な思いが隠されているんですよ。
なぜ「台湾」と呼べないのか、その理由を知ると、スポーツ観戦がもっと奥深いものになるはずです。
この記事では、「チャイニーズタイニーズ」という名称にまつわる、さまざまな疑問や背景事情をわかりやすく解説していきます。
台湾の人々のアイデンティティや、国際社会における立ち位置についても掘り下げていきますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
チャイニーズタイペイの呼び方が気になる!
国際スポーツイベントで、どうして台湾は「チャイニーズタイペイ」と呼ばれるのか、疑問に思ったことはありませんか?
その背景には、国際オリンピック委員会(IOC)のルールと、中国(中華人民共和国、PRC)との複雑な政治的な事情が絡んでいるんです。
1949年の中国内戦以降、PRCは「一つの中国原則」を掲げ、台湾を自国の一部だと主張し続けています。
1971年に国連でPRCが中国の代表権を獲得したことで、台湾(中華民国、ROC)の国際的な地位は大きく低下しました。
その結果、スポーツ界でも台湾の名称やシンボル使用に、厳しい制限が課せられるようになったのです。
IOCのデータによると、台湾は1952年から1970年代初頭まで、「Formosa」や「Taiwan」、「Republic of China」としてオリンピックに参加していました。
しかし、PRCの強い反発を受け、1979年の名古屋決議で「Chinese Taipei」という、なんとも妥協的な名称が提案されたんです。
そして、1981年のローザンヌ合意で、この名称が正式に採用されることになりました。
この「Chinese Taipei」という名称は、PRCが解釈する「中国の台北」と、台湾側が主張する「中華台北」という、あいまいな部分を意図的に残しているんですよ。
これは、両者の対立をできる限り避けるための、苦肉の策だったと言えるでしょう。
しかし、台湾の世論調査(2023年、台湾選挙研究センター)の結果を見ると、約80%の国民が自らを「Taiwanese」と認識しており、「Chinese」という表現に違和感を覚える人が多いことも明らかになっています。
名前一つとっても、複雑な感情が渦巻いているのがわかりますよね。
台湾がチャイニーズタイペイと名乗る理由は?
「チャイニーズタイペイ」という名称が採用されたのは、1981年の「名古屋合意」(正式には1979年のIOC決議と1981年のローザンヌ合意)にさかのぼります。
この合意は、PRCがIOCに復帰するための条件として、台湾が「中華民国」や「台湾」という名称を使用しないことを求めた結果なんです。
PRCの圧力は想像以上に強く、台湾がこの名称を受け入れなければ、オリンピックや他の国際大会への出場が認められない、という厳しい現実がありました。
実際、1976年のモントリオール五輪では、カナダがROCのシンボル使用を拒否したため、台湾は大会をボイコットせざるを得なかったという過去もあるんです。
また、2019年には、台湾の台中市が東アジアユースゲームズの開催権を剥奪されるという事件も起きました。
この背景には、名称変更を求める運動がPRCの反発を招いたことが関係していると言われています(IOC公式発表)。
さらに、台湾は国際スポーツへの参加を通じて、外交的な窓口を維持する必要があるという事情も抱えています。
国際社会から孤立することを避けるために、苦渋の決断として妥協せざるを得なかった、という側面もあるんですよね。
スポーツの世界だけでなく、WTOやAPECなどの国際組織でも、台湾は同様に「Chinese Taipei」として参加しているんですよ。
チャイニーズタイペイの旗や歌も特別だった!
台湾チームが国際大会で使用する旗は「梅花旗(ばいかき)」と呼ばれていて、白地に青と赤のオリンピック委員会エンブレムと、梅の花が描かれたデザインになっています。

梅花旗/wikipedia
これは、国旗・青天白日満地紅旗(せいてんはくじつまんちこうき)の使用が禁止されているため、1981年の合意に基づいて採用された代替シンボルなんです。

青天白日満地紅旗(せいてんはくじつまんちこうき)/世界の国旗図鑑
そして、国歌の代わりに流れるのは「国旗歌」(National Banner Song)という曲で、1937年に作られたものですが、公式には国歌とは認められていません。
IOCの規定では、台湾選手がメダルを獲得した際にも、この曲が使用されることになっています。
そのため、観客や視聴者の多くが「なぜ国歌が流れないんだろう?」と疑問に思うことが多いんですよね。
台湾チームに課せられた「3つの特別ルール」として、
という点が挙げられます。
これらのルールは、他のどの国にも適用されない、台湾独自の制限なんです(IOC公式ガイドライン2023年版)。
スポーツの祭典であるオリンピックで、このような特別な扱いを受けているという事実は、改めて台湾の置かれた複雑な状況を物語っていると言えるでしょう。
「チャイニーズタイペイ」という名称は、単なる呼称以上の意味を持っているんですよね。
「Chinese」という言葉には、PRCが主張する「中国の一部」という政治的な意味合いと、台湾側が重視する「中華文化」という民族的・文化的な解釈が混在しているんです。
これは、両者の対立を曖昧にするための、巧妙な妥協策とも言えるかもしれません。
しかし、台湾国内では1990年代以降、民主化が進む中で「Taiwanese」としてのアイデンティティが急速に強まってきています。
特に若年層の間では、「Chinese」という表現への抵抗感が強くなっているのは、自然な流れかもしれませんね。
興味深いことに、2018年の国民投票では、名称を「Taiwan」に変更する提案が否決されました。
これは、IOCからの除外リスクを恐れた、現実的な判断によるものなんです。
スポーツを通じた国際的な認知は、台湾にとって数少ない外交の場であり、名前の変更がもたらす孤立化を避けたい、というジレンマが背景にあるんですよ。
また、台湾選手がメダルを獲得した際に流れる「国旗歌」は、実は国歌として作られたものではなく、歴史的には国旗掲揚のための儀式用楽曲だった、という意外な事実もあります。
さまざまな歴史的背景や政治的な思惑が絡み合って、現在の形になっているんですね。
